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2005年04月01日 政令指定都市

夢と現実の溝が広がる政令市

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2005年4月1日、静岡市は全国で14番目の政令指定都市となった。人口は最少だが、面積は最大の大都市である。

NHK静岡では夜7時30分から「ナビゲーション」で「政令指定都市 その夢と現実」を放送した。番組は、祝賀ムードとは無縁の厳しい現実を指摘する内容だった。

■はじめに結論があった

政令市実現の出発点になったのは、清水JC(当時の理事長は風間重樹氏)が呼びかけた静清合併協議会の設置を求める住民発議だ。

静岡市と清水市の合併協議は、政令市実現のためにどうしても通過しなければならない過程だったが、4年に渡る合併協議会では政令市について、まったく議論されていない。

合併協は合併を議論する場で、政令市は別という理由だった。結論が先にあり、その結論に世論を導くため、将来への見通しは精査することもなく、バラ色に描かれた。

その結果、合併後に宅地並み課税が知らされた。決定前に、課税が公になっていたら、合併は間違いなく白紙になっていた。

■新たに90億円の借金

0504seireisi5.jpg番組では政令市になったことで県から委譲された業務に対して、財源が不足する点を指摘する。

政令市移行で加わる新たな業務に必要な予算は284億円になる。これと同じ金額が収入として増えなければ、市からの持ち出しになる。

284億円の支出に対する収入は、県から委譲される道路特定財源が27%、補助金が18%、地方交付税などが15%、その他8%を除くと、残り32%の約90億円は市債で補うことになる。市債という借金が増えていく。

■ますます削減される交付税

地方交付税は小泉内閣の「三位一体」改革で、ますます削減されていく。景気の低迷で、市税収入も減少が続いている。政令市になると人や企業が集中すると説明されていたが、その気配すらない。

市債の発行は、市税の先取りであり、市税が減少すれば、市債の発行をさらに増やして帳尻を合わせる必要が出てくる。

0504seireisi3.jpg収入増が望めないため、支出の削減をしていく。スポーツ大会への補助金、高齢者の医療や福祉への補助金も削減される。

静岡市は毎月第2月曜日を「ふろばた会議の日」として70歳以上の人を対象に銭湯を無料開放している。このサービスも、財源難を理由に来年4月から廃止が検討されている。

月に1回無料になっている銭湯は旧静岡市の三ヶ所だけである。この節約が、財政難にどれほど貢献しているのか判らない。


■合併を決めた人たちの責任

0504seireisi4.jpg番組では宮城島弘正氏も登場した。合併を決めた最後の清水市長であり、任期途中で辞任した元静岡市副市長である。

宮城島氏は合併後の新市について「絵を見せて、こういうまちを作りますと言っておいて、あれは関係ないよじゃ、市民を騙したことになってしまう」と語った。

合併の約束である新市建設計画に盛り込まれた多くの計画が反故にされていることへの不満を語る宮城島氏だが、合併を決めた責任者だったことを忘れているのかもしれない。

■国に頼らざるを得ない皮肉な結果

番組でコメンテーターとして出演した横浜国立大学経済学部教授の金澤史雄氏は「政令市になり財政力が強化されるのではなく、地方交付税などの依存財源に頼らざるを得なくなる皮肉な結果」と指摘した。

政令市という夢を描き、合併を実現させたが、その夢を実現するための見通しが甘すぎた。これが番組のメッセージだった。「活発に交流し価値を創りあう自立都市」を目指している静岡市の実像が、ここにある。

もし、この番組が先の静岡市議選の前に放送されていたら、バラ色の政令市を宣伝していた候補者に大きな影響を与えたかもしれない。そんな気にさせる鋭い番組だった。

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