競争

清水から静岡へ電車で行くとき、静鉄にするかJRにするか、迷うときがある。
駅の数なら静鉄だが、時間の短さと運賃の安さならJRだ。JRもダイヤ改正の度に本数が増え、利便性では静鉄に負けていない。静鉄も駅を増やす計画がある。JRと静鉄の競争である。
競争と言えば、清水市と静岡市の合併協議で「都市間競争」という言葉がたびたび登場した。
数年前から騒がれている「平成の大合併」の先には道州制が待っているらしい。もし、それが実現すると、静岡県は東京と名古屋の中間で、富士川を境に県が二分される計画のようだ。
今でも、富士川から東は東京電力、西は中部電力で、周波数も違う。
分割された静岡県には州都である東京と名古屋の出先機関が置かれ、人と物が集まる仕組みが作られる。
東京から見て西は沼津と三島のどちらかだろう。名古屋から見て東は、浜松か静岡のどちらかだが、浜松が圧倒的に有利だろう。浜松は経済的にも文化的にも東京ではなく名古屋を向いている。
「だから、浜松に勝つために政令指定都市にならなければならない。そうでないと、浜松に負けてしまう」
静岡と清水の合併でうまれた70万都市は、浜松を睨みながら競争を続けている。
入江岡の南幹線沿いに切り倒された街路樹があった。介護用品を扱う店のすぐ近くだ。朽ちた切り株の横から新芽が伸びている。切り株のすぐ裏は静鉄とJRの線路だ。朽ちたように見えたのは外見だけで、樹木の生命は続いていた。休日で道路がすいているせいだろうか、電車が通過する金属音がいつもより大きく聞こえた。