JAPAN TUNA

江尻船溜まりから見る富士山。山頂付近は強風のため雪が飛ばされていると天気予報が伝えていた。
朝のNHK静岡のニュースで、「お天気カメラ」からの映像が流れる。由比、堂ヶ島、浜名湖など静岡県内各地から送られてくる遠隔操作カメラによるライブ映像だ。テレビ画面にくっきりとした富士山が登場すると、近場の富士山スポットに出掛けたくなる。真っ先に行くのは、江尻船溜まりだ。
船溜まりと富士山の間には飛島埋立地がある。港とタンクと富士山の組み合わせを嫌う人もいるが、自分では清水らしくて気に入っているスポットだ。
前回来たときと比べてLNG基地拡張工事のクレーンが大きくなったような気がする。2010年が運転開始予定だから、来年が工事の最終段階になる。地下に埋められた巨大貯蔵庫は、耐震設計がされているのだが、東海大地震への心配の種は消えない。もっとも、貴殿の木造家屋を心配しろと言われそうだが・・・。
●LNGの3号機工事(清水エルエヌジーHPより)≫

遠くに第2東名の橋脚が見える。丸いドーム型の建物は辻町の結婚式場。
この時期になると、新聞やテレビは一年を振り返る特集を組む。12月25日付の静岡新聞夕刊の「08現場発・取材メモから」は遠洋まぐろ休漁を取り上げていた。
今年の7月15日、全国約20万隻の漁船が燃料費高騰の窮状を訴えるため一斉休漁した。全漁民のストライキである。まぐろ延縄漁船も、夏から順次休漁を決定した。燃料価格は、夏から秋への高騰をピークに下がっているが、漁民の窮状が解決された訳ではない。
静岡新聞の記者は「巨大化する小売りが価格決定権を握り、卸や加工業者はその価格に見合う値段でしか浜値をつけない。しわ寄せは川上の漁船が最も大きく受ける」と書いた。

元漁師だった大正生まれの父親から、「命がけで漁をしても、陸の人間は、それとは別に値をつける」と、漁師が魚価を決められない悔しさを何度も聞かされた。原材料費や人件費を積み上げた売値ではなく、陸上で買い取る側が需要と供給のバランスを勘案しながら相場が決まる。その仕組みは、昔も今も変わらないが、仕組みを動かす力が巨大になり、川上と川下のバランスが崩れようとしている。
「まぐろが食卓から消える以前に、日本の漁業者が消える」と、かつお・まぐろ漁協役員の言葉を記者は紹介する。
冬の太陽が船溜まりの水面に揺れていた。キラキラ輝く光が美しい。今年も、あと4日になった。
